『ウェブ時代をゆく』を読んで

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はじめに

この本を読もうと思ったきっかけは、「今後のキャリアはどうしていこう」と悶々と考えていたときに、大学のゼミで教授が「高速道路とけものみち」を紹介してくれたときの本をたまたま見つけたから。 この本を読み終えて強く思ったことは「やっぱITって面白いよね」「自分もインターネットで何かを発信したいな」の2点だった。 その他本書を通じて感じたことも備忘録として残しておく。

概要

インターネットってすごいやん、これまでの学習のあり方、会社の仕組み、人間のキャリアなど幅広く変わるよって話しをしてくれてる本。インターネット使えないやつはオワコンみたいなことも書いてる。

個人的にめっちゃ好きな本、この本を紹介されてITに魅力を感じた。

各章のポイント

序章 混沌として面白い時代

・今後100年先に1975-2025年までを振り返るとITが世界を大きく変えた時代と言われるだろう
・インターネットで時間、距離がなくなり、無限大の人々とつながりをつくれるようになった
・福沢諭吉は「一身にして二生を経る」といい、最初の半分で身につけた常識と、残り半分で身につけた常識は異なるという内容。
・将来でも活用されていくインターネットを過小評価して、いまの常識にとらわれてしまっていると、後半の人生では生き残れない
・年寄りが威張る。そんな時代に若い人はどうするべきか。一番まともな生き方は年寄りがダメな世界で頑張ること。ならばウェブは格好の分野ではないか。
・知的で明るい大人が増えねば、未来の創造はできない。未来をつくるエネルギーは楽観主義が支える。理解できない新しいものに直面したとき、不具合や問題点などのネガティブな捉え方としていては、誰も新しいものを創造しようとは思わない
・ITの歴史は「個」の可能性を押し広げ、「個」を開放する方向での理想を掲げた人らの主張が長い目でみて実現してきた歴史
・自分が発信した情報が、インターネットを通じて多くの方のコメントを見れるようになり、その情報から再考したこのプロセスが最も大切な資産となった。
・ある分野を極めようと思ったときに、インターネットを通じることで高速道路を疾走するかのスピードで効率よく知識を得れる。しかし誰しもがたどり着けるので、そこからは大渋滞がおきる(≒多くの人がその道のプロ直前でとまる)。その大渋滞のあとにどう生きるかの創造性にかかる。
・大渋滞のあとでサバイバルするには、大渋滞を抜けようと「高く険しい道」を目指すか、高速を降りて道標のない「けものみち」を歩いていくか。
・人は誰しも「好きなこと」「やりたいこと」に熱中・没頭して充実感を得られる。だからこそ自分の好きなことを長く続けられるかが、競争力にもなる。好きの核をつかめていければ自分にあった道を選べる。好きの強度が強ければ「高く険しい道」を、自ら複数志向性の好きを持つなら「けものみち」を選んでいけばいい
・個々人が自発的に面白い・やりがいのあることを追求することが、金銭的な欲求以上の成果を出せるという確信がハッカー倫理の基盤にある。面白いことをやりたく、その面白いことを多くの人と共有できるのが根源にある。
・個が生きる時代がからこそ、個としての精神的な自立が必要である。所属する組織やコミュニティに埋没せず、個が精神的に自立すれば、混沌の時代もまったく新たしい自由な可能性空間として見えてくれはず。

第一章 グーグルと「もうひとつの地球」

・ふつう企業が儲かる仕組みを創出して、急成長を始めると、ビジネス優先の文化が会社を覆っていき、次第にそれが企業を常識的な方向へと変質させていくが、Googleは儲かるようになってますます、特質な個性をなくすことなく、むしろ際立つようになってきた。
・クリエイトとする喜びの重要性。子供に自由に創造的な行為を取り組める可能性が広がったとき、子供の熱狂はものを欲しがらずになり、「経済のゲーム」ではなく、「知と情報のゲーム」になる。

第二章 リーダーシップ

・スモールビジネスオーナーにとって、会社は自分が好きなことをやりたいように続けていくための枠組みであって、それ以上でもそれ以下でもない。こうすれば成長できるかもしれないという可能性は、それほど重要な要素ではないのである。
・指向性を否軸するゆえにお互いを深く理解する「同好の士」達によって自らの達成が承認・賞賛されることが人生に訪れるもっとも重要な喜びの1つに違いない。故にネットで好きなことへの没頭が続けられるのである。
・エリートでもなく、大衆に埋没していない中間層の人たちにとって新しい可能性の出現、それがネットの本当のありがたみでもある。そのような中間層の人たちが自分の一番好きな領域を選び、よき志向性の共同体をネットに作っていく。それがリアル世界ともつながっていく仕組みを、みながそれぞれの得意分野で作っていけば、社会全体はもっと良くなっていくのではないか

第三章「高速道路」と「けものみち」

・アントレプレナーシップの真髄とは自分の頭で考え、どんなことがあっても絶対に諦めないということに尽きる
・けものみちを進み、一人で生きていくコツは、あらゆる面でネットを活用すること。自分の志向性や専門性や人間関係を拠り所に自分にしか生み出せない価値を定義して常に発信していく。ブログを名刺代わりにする。自分にとって大切なキーワードで自分の記事がエントリーするくらい。

第四章 ロールモデル思考法

・自分がやりたいことを見つけることが大切。何に向いているのか、何が好きなのかを見つけることは優しくない。それでも見つけ出さなければならない。良くないのは見つける努力もしないでフワフワ生きていること。
・好きなものを見つけるために頭だけで考えずに、外界に目を向けてみる。すべてのロールモデルになる人は難しいため、ある人のとある部分やある人の時間の使い方、生活場面などのあらゆる局面に関する情報から、自分の波長のあうロールモデルを丁寧に収集する。直感で良い。そしてなぜ惹かれたかを考える。
・もっと褒める。心のなかで良いなと思ったら口に出す。人を褒める能力とは、ある対象の良いところを探す能力である。ネガティブに批判ばかりしていくと、結果としては自分にも批判的になり、新しい一歩を踏み出しにくくなる。
・無理に褒める必要はない。自分と波長のあったことを表明するだけで良い
・好きを見つけるには、戦略性と勤勉さにいきつく。自分の志向性に正直に好きを見つけるための努力を怠らず、好きなことの組み合わせを見つけたら、面倒なことでも延々と続ける勤勉さがカギとなる。
・好きなことを見つけたら時間の優先度を変えて、好きなことに打ち込む。時間軸を変えることで違う自分を見つけることができる。
・長期的になりたい自分と短期的になれる自分を意識して現実的に好きなことを考える

第五章 手ぶらの知的生産

・知的生産とは、個人が調べ、読み、考え、発見し、何らかの新しい情報を創出し、それを人に分かるかたちで書き、誰かに提出するまでのの一連の行為と定義する。例えば、「本を読む」という高度な知的な行為もアウトプットがないならば、「知的消費」に過ぎず、「知的生産」ではないのである。
・知的生産をする格好の場がネットではないか。すべてが無料で揃っている。
・インターネットは知恵を預けると利子をくれる銀行のようなもの。インターネットで記事を公開したり、何かを問いかけると自分の想像を超えたアイディアや意見をくれることがある。このプロセスを繰り返しすることが新しい知的生産の流儀となる。
・経済のゲームとしてみれば圧倒的にお金が回るのはリアルな世界。ゆえに知的生産の成果はリアルに戻して飯を食う可能性として捉えるのが本筋であろう

第六章 大組織vs少組織

・グーグルはインターン生に対してもあらゆる情報をオープンにして見せる。情報共有が当たり前で、隠すことが例外。だからこそ社内の学習の高速道路が構築されて、自分の仕事に加え、会社全体で起きていることに関心を持ち、積極的に関与することが奨励される。そして競争環境が構築される。
・Googleではエンジニアの評価はエンジニアのみが行い、ビジネスマネージャは一切関与しない。
・米国では15年近く前から、大企業が飛び地の新規事業をやたらに起こしても成功率が低いので、本業と本業周辺の新技術や新製品の開発に注力し、新規事業の創造はベンチャー企業の多産多死の市場メカニズムに任せ、そこらを勝ち抜いたベンチャーを必要なら買収するという経営手法が定着した。
・大組織適応性がなければ小さな組織もおもしろい。小さな会社は比較的早く大きな責任が与えられて成長できる場合が多い。ただし、ただし当たりハズレも大きい。そのため、一つの会社に依存することなく、常に次の場所はどこかを意識しながら生きていく必要もある。 ・その小さな会社の良し悪しを把握する一つに、情報共有と競争力の関係性について、どの程度理解があるかを見ることも大切である。
・少しでも良い場所にいくことをためらってはいけない、10年に3社くらいに移っても後ろめたさを保つ必要はない。正しいときに正しい場所にいる必要があるのだ。 ・30-45歳で大企業でフワフワしていきていくことはかなり危険。自分のキャリアに自覚的に意識して過ごすことが大切である。

第七章 新しい職業

・新しい世界は、そこに新しく入ってくる人たちをとても大切にしてくれる、そして新しい世界は面白くて楽しかった。
・ベンチャーで働くことは、その後のキャリアにプラスに働くし、面白い人と出会う可能性も高い。金銭的な動機よりも無形の価値を重視したほうがいい。緊張感あふれる仕事環境に身をおくことで個が成長できる場の位置づけ

終章 ウェブは自ら助くる者を助く

・ネットの世界こそ「自助の精神」に基づく「勤勉の継続」が、リアル世界以上に求められる。
・ネットは楽しい、面白い、便利だ。消費や娯楽の対象としてネットの可能性はどれだけでも大きい。しかし、ネットが本当のいいでの人生と交錯するのは、さらにその先においてである。だからこそ自助の精神なしには見えてこない。
・いま自分がやっていることを、未来の観点から懐疑する観点がどれだけあるかも大切。それが強ければ強いほどサバイバルしていける。サバイバルしようとする強いエネルギーはサバイバルできた先の世界への希望から生まれ、自らの現状への懐疑の感覚を向けることで、時間の使い方への関心が強まっていく

自分がITを面白いと思う理由

自分は今でもITを選んで本当に良かったと思っている。
就活のときにITベンチャーを志望していたが、その理由は①成長していること②権限が大きいこと③実体験として楽しかったからだった。

1. 成長性

自分の就活のときはスマホが登場してきて、スマホサイトやアプリをどんどん作っていく会社が多くあり、IT需要が非常に高かった。また、ネット通販の市場も非常に伸びていて、伸びている業界にはヒト・モノ・カネ・情報が多く集まると思った。

2. 権限

ITだからこそ若い人が多く、まだまだ追い抜くことができるのではないかと思った。また、ベンチャーであれば新人にも大きな仕事をもらえる可能性が高いと思った。

3. 実体験

自分は学生のときに公務員や不動産、ITや広告などの多くのインターンをしていたのだが、最も楽しかったのはIT会社へのインターンだった。仕事内容はバグチケットのスケジュール管理や企画案ブレストとかであったが、自分のバグ報告からの対応スピードや一人で企画から開発までできてしまう一人の力の大きさが自分の目には非常に魅力的に映った。

今実際にITベンチャーに身をおいても、この3つの基準は正しかったと思う。 本書でも近しい記載があり、自分が選択した理由をまとめてくれたような感じがして、読んでいてすごく共感を覚えた。

自分も何かを発信したいと思った経緯

本書にも記載があるが、インターネットは「個」が活きる文化だと同じく思う。

恥かしながら自分はついこないだまで選挙にほとんど行かなかった。その理由は自分が投票しても何も変わらないし、どの人が何を目指してるのかを知りたいとも思わなかったからだ。
でも、Facebookで一人の若い女性が若者が選挙に行く理由を動画で拡散していたのを見たのをきっかけに、「やっぱこのままではいけないな」と思い選挙に行くようになった。
おそらく自分以外にもあの動画で行くようになった人はいるのではないかなと思う。(探したけど動画が見つからず...)

一人の人が発信することで、共感する大勢の人を動かすことができるのはインターネットだからこそだと思う。自分もインターネット業界で働く人として、小さいことでも何か発信していきたいなと思った。

好きなことを探しつづける

みな誰しもが自分の好きなことを仕事にしたいと思う反面、自分が好きなことは何なのかがイマイチわからないと思う。また、「自分が好きなことはこれかもしれない!」と見つけたとしても、数ヶ月後には別の何かを探しているのが大多数なんではないかと思う。自分はまさにこのパターンである。

自分の中の結論として、結果この進め方でいいんではないかなと。自分が好きなことを見つけて、知の高速道路を走り、渋滞に差し掛かる、もしくは自分の興味が消えたところで高速道路をおりて、また違う高速道路を走れば良いのだと。
また、興味が復活したら戻って高速道路を走れば良いのだと。
自分はまだ「高く険しい道」がわかっていないから、このやり方が今の自分にとっての走り方と思った。

ただし、常に自分の好きなことは何なのかを探して、そのための行動はとらなければならないと思った。そのためにも「これでいいんだっけ?」と常に自分に問うことが大切だなと。

楽観主義にならなければ

正直、自分でも自分は批判的な方だと思う。スマホにも遅れて、LINEもギリギリまでやらず、電子書籍は使わずに嫌悪していた。新しいものを取り入れるのが面倒で、新しい商品や文化を批判して、あらを探す方だと思う。

自分の職種は、ITでの企画やマーケティングなので、新しいものをどんどん取り入れていくべき人らなので、自分のスタイルを楽天主義かつポジティブな思考へと変えなかればならないなと思った。 ポジティブに何かを捉えて進めてくれる人だからこそ、周りもついてきてくれるのだとも思った。

売上に走りすぎてしまわぬように

上述しているが、自分はビジネスサイド側の職種なので、どうしても売上を伸ばそうとばかり考えてしまいがちだ。あくまでもサイトとしての価値やコンセプトがあるから売上がついてくる。その価値やコンセプトを逸脱してしまうことは、長期的に売上を落としてしまうはず。

自分が提案する企画もサイトとしての価値やコンセプトを毀損せず、むしろ価値を上げるような企画にしようと改めて思った。

リアル世界への視点を忘れない

「経済のゲームの観点では、インターネットよりもリアルのほうがお金が動いている」「インターネットは娯楽や便利さが根強く、人生での交錯はまだまだ先である」というニュアンスの記載があり、まさにそのとおりだと思った。

IT業界ゆえにインターネットだけで考えてしまいがちで、リアルと言う視点が欠けていると自分自身にも思う。自分もインターネットよりもリアルの世界のほうが断然にお金が動いている。リアルという視点を常に持ち続ける必要があるなと。
また、インターネットはまだまだ娯楽としての役割が大きい。インターネットじゃないとできない何かをこれからも探していきたい。

情報の公開性

情報を非公開にしてしまうことで、情報が行き渡らなかった人にとっては「自分はあまり重要ではないのだな」と捉えられてしまうため、自分はなるべく情報は公開しておくべきたと思っていた。本書を通じて、自主性の促進や競争環境の構築にもなるなと感じた。

何かの情報を取りにいこうとすれば、どこにでもある状況だからこそ、色んな発見や刺激を受けられるのだろうなと。改めて情報を開示していく動きをとっていこうと思った。

知的生産

知的生産と知的消費は区別して使っていく必要があると思った。これまで多くの書籍を読んできたつもりだが、数年後にもう一度読むと初めて読んだくらいに思うときもある。
これまで知的消費として読んできたのだろう。アウトプットをしてこなかったので、ほとんど覚えていないことばかりなので、グサッときた。

今回のようなブログでのアウトプットのように知的生産をして、自分の知識や思考の整理として自分の中に吸収したい。

エンジニアの評価

「Googleではエンジニアがエンジニアの評価をして、ビジネスサイドは評価をしない」との記載があったが、やっぱりそうなんだなと思った。たしかにビジネスサイドからしてみればエンジニアをどう評価してよいか非常に難しい。かつ売上を意識して働けというのも多少難しいところがあると思う。

というのもエンジニアが売上を意識すると、エンジニアが良い企画案を出すか、変な実装でも良いからスピードをだすことを目指してしまいがちなのではないかなと。
自分で正しく実装しつつ、技術も深めつつ、アイディアを出していくことはハードルが高すぎる。

営業は売上という確固たる定量評価できるが、エンジニアはエンジニアしか評価できない。その文化を浸透させることが重要なのだなと実感した。

終わりに

実はこのブログは数年前までPV狙いで記事を書いていたが、データが吹っ飛んでから一時期更新していなかった。というのも、自分が楽しくなかった上、大したスキルアップにもならなかったからだ。

『ウェブ時代をゆく』を読んで、PVは狙わず誰かのためになることを意識しつつ、自分の好きなように書いていこうと思った。このスタイルが一番楽しい上にアウトプットもできるから、スキルにもなるのではないかなと。

好きなことを探して、常に「これでいいんだっけ?」と自問していこうと思った。 また、所属する組織に依存することなく自立して、生きてもいきたいなとも。頑張ろう。

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